JPRSからの提案で議題となった
DRPはどこの国でも重要なテーマであるためか、今回のワークショップで最も注目を集め、CENTRのL&R(法務関係)のメンバー15 名も合流してセッションが開かれるという珍しいかたちとなりました。オランダ(.nl)と日本(.jp)からの発表後、紛争等によりドメイン名の登録が一時的に凍結される際の条件やDRP運用状況について活発に議論と情報交換が行われました。
オランダ(.nl):1999年から2003年にかけてヨーロッパの法律関係者の間では、ドメイン名は「財産法」に基づいて解釈するのか、「契約法」に基づいて解釈するのかについて議論が行われ、その結果、ドメイン名の登録者はドメイ
ン名を所有するのではなく、一定期間使用する権利を与えられるという契約法に基づく解釈が一般的になっているとの発表がありました。その他、ドメイン名の登録が一時的に凍結される際の条件の説明として、紛争処理中や裁判所命令による場合、支払い遅延など登録者としての義務を果たしていない場合等の条件の詳細な紹介がありました。
日本(.jp):はじめに、
JP-DRP(JPドメイン名紛争処理方針)策定の経緯と、方針概要、3つの組織による方針制定、裁定、裁定結果実行の分業体制の説明をした後、制度開始(2000年10月)から約4年間の総括を行いました。具体的には、紛争の処理件数が4年間で30件と当初の予想より少ないこと、紛争の申立て件数は年々減少していること、現状の仕組みを維持するには大きなコストがかかること、紛争の対象範囲が商標等に限定され、個人名や官公庁の名称等がカバーされておらず不十分な点があること等の課題を挙げました。
JPRSからの発表の後、各々のTLDのDRPについて情報交換がありました。方針概要については、(1)
UDRPをそのまま利用、(2)UDRPをローカライズ、(3)他ccTLD のDRPを参考にして独自に制定、(4)自組織で独自に制定、(5)DRPを持たない、等それぞれ異なりました。DRPを維持するための費用負担については、(1)すべて国が負担、(2)すべてレジストリが負担、(3)レジストリと申立人が折半して負担、(4)申立人が負担、(5)紛争処理機関が負担、等、こちらもTLD毎に異なりました。紛争処理機関についても、WIPO(世界知的所有権機関)に業務委託、国内の仲裁関係組織が対応、DRPを目的に組織された弁護士・弁理士・大学教授等の専門家集団が対応等、やはりそれぞれ異なりました。
なお、DRPより軽微な紛争解決の方法として、仲裁(mediation)、申立て(appeal)という仕組みを持つTLDもいくつかあり、DRPよりも利用されているとのことでした。例えばイギリスの場合、レジストリ内に仲裁専任の担当者が存在し、希望者は匿名かつ無料で仲裁を依頼することができるとのことです。こちらは月に60件程度利用され、たいへん好評とのことでした。
本テーマに関する議論の流れは、DRPという仕組みは、レジストリ、紛争処理機関、申立人、登録者ともにコストがかかる割に少数事件しか扱われておらず、その効果、必要性、位置づけ、維持コスト削減の検討が必要な時期に来ているというものでした。